寺町計算言語

計算の話や言語の話もするかも。多少は。※個人の見解であり、所属する組織の公式見解ではありません

2016年


2016年を振り返ってみます。大急ぎで書きます。こういうのはその年のうちに書いておかないと格好がつかないので。ついでなので2017年の目標も書きます。これは年が明けてからの方が良いのでしょうけれど。

まず、どうにかこうにか生き残っています。去年の大半は、任期切れ間近なのに次の仕事先が決まっていない状態でした。言語処理自体から足を洗うことを半分くらい考えていました。これは今でも時々考えますが。幸いなことに拾っていただいて、京大に戻って1年が経ちました。身分が安定するのは良いことです。ずっと半年、一年先の仕事ばかり探しているようでは効率が悪くて仕方がありません。ただ、この先の展望は特にありません。どうしたものか考えものです。

今年の目標は、業績リストを見ただけで人間性の問題がばれる状態を何とかすることでした。信じがたいことに、去年までに出した国際会議論文はボスとの共著と単著だけでした。今年になって初めて、ボス以外との共著論文を出しました。さらに学生が 1st で、自分が 2nd 兼 last という論文も出しました。それぞれ 3rd tier と 2nd tier ですが、まずは通すことが重要です。

論文製造に関しては問題山積です。一番の問題は、いろいろな事情から手を出して、それなりに資源を投下したものの、成仏させずにそのままになっている話が多すぎることです。微妙なネタもそれなりの品質に仕上げる仕事人力を養う必要を感じています。

趣味の話は 1st tier の単著と、先に触れた 2nd tier の共著が通りました。去年の分も含めると、国際会議が計3本です。これでいよいよ確信に変わったのですが、査読が機能していません。システムの脆弱性をついている気分です。私がやっているのは、普通の言語処理の人が目もくれない言語学のネタを拾ってきて、そこにちょろっと統計の話を混ぜ込むだけの簡単なお仕事です。実際にやってみると、言語ネタと統計ネタの両方がわかる査読者が誰もいないことがわかりました。うちの分野では査読者は3人つきますが、毎回どちらかの分野に偏りました。査読者が自分の知らない話をどう扱うかまったく予想できませんでした。蓋を開けてみると、「まあいいんちゃう。知らんけど。」みたいな扱いです。あまり有益なコメントを貰えないかわりに、少なくとも門前払いはされないことがわかりました。

2017年の目標を付け加えると、仕事を断ることです。これまでは依頼された仕事は基本的に全部引き受けていました。年をとってくると、生態系の維持も重要な役回りになってきます。しかしその後の成り行きを見て失敗だったと思う事例が何件かありました。資源は有限なので、仕事は選んだほうが良さそうです。自分がお世話になったことのないところ、むしろ潰した方が世界平和のためではないかと思われるところからの仕事は積極的に断ろうと思います。

画像はNLP若手の会第11回シンポジウムの一コマ (2016年8月29日撮影)。