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寺町計算言語

計算の話や言語の話もするかも。多少は。※個人の見解であり、所属する組織の公式見解ではありません

LREC2016


京都についてはいまさら書くこともありません。代わりに国際会議の報告でも書くことにします。5 月に LREC2016 という会議に参加して来ました。

LREC は Language Resources and Evaluation Conference の略で、その名の通り、言語資源作成や評価方法を扱う会議です。そのあたりに自然に転がっているデータだけで言語処理が行えることはまずありません。大抵は、誰かが頑張って作ったデータがあってはじめて可能になります。*1そうした地味な仕事を貢献として認めることは重要です。LREC はそのニッチにうまくはまっています。

ただし、会議の平均的な水準は極めて低いです。何しろ発表件数が 700 以上です。今回は査読にも加わりましたが、まともに機能していないことを再確認しました。同じ論文を担当する別の査読者のコメントが考えられないくらいひどいものでした。コイントスで採否を決めた方がまだ納得感がありそうです。学生がはじめて行く会議としてはおすすめできません。

このように玉石混交もいいところですが、収穫もありました。ヨーロッパの言語学関係で、ACL 系の学会には来なそうな人たちも来ていて、某データセットについていろいろ教えてもらいました。

LREC は隔年で、ヨーロッパ近辺のリゾート地で開催されています。今回も、開催地はスロベニアポルトロージュ (Portorož) という海沿いのリゾートでした。前回参加は 2010 年にマルタのバレッタで開催されたときなので、6 年ぶり 2 回目となります。次回の開催地はまだ公表されていません。

Portorož の町はバブリーなリゾートでした。隣の Piran はローマ時代から知られている古い町です。よさ気な写真は会議のサイトで確認できるので、代わりに会場のホテルの写真を載せます (2016 年 5 月 28 日撮影)。会場案内で 12th floor と言われて、どういうことかと思いましたが、崖にそって建てられた高層建築でした。Portorož の町と Piran の中間に同じグループのホテルが並んでいます。会場はその一つで、私が宿泊したのはその中の別のホテルでした。

開催国のスロベニアは小さな国でした。首都の空港を経由したのですが、鹿児島空港の方がよほど栄えています。LREC なんてよくある国際会議にすぎないのに、Held under the Honorary Patronage of His Excellency Mr. Borut Pahor, President of the Republic of Slovenia ということで、大統領の名前で開催されていました。言語処理学会鳥取で開催されたときも、割と歓迎されている雰囲気がありましたが、そんな感じでしょうか。

アメリカに行って、歴史のない町で高くてまずい飯を食べることを考えると、ヨーロッパは良いことばかりです。でも最近はテロが心配です。難民は見かけませんでした。スロベニアは旧社会主義国の中では豊かな方ですが、ドイツとくらべると魅力はないのでしょうか。トルコ航空を使ったのでイスタンブールを経由しましたが、ちょうど1月後にテロがありました。ゲートは突破されなかったとのことですが。さらにその 2 週間後にはクーデターがあって、アタチュルク空港も一時期占領されていたようです。むしろその後の粛清の嵐の方が深刻そうです。当面はトルコ航空を使う気になりません。

*1:普通の言語処理の感覚を持っていれば、Natural Language Processing (Almost) from Scratch という表題はありえないわけです。